エンハンスメントとトリートメント


エッセイの「宝石の販売」にも少し書いたのですが、宝石を処理している場合、「エンハンスメント」と「トリートメント」に区別されます。

一般的に、エンハンスメントは、その宝石自身が持っている潜在的な美しさを人の手を加えて引き出す「改良」と呼ばれる手段になります。もうちょっと、その宝石の生成時に圧力がかかっていれば…とか、もう少し温度が高かったら…という状態な石を掘り出された後で、圧力をかけたり、高温状態にしたりします。ただし、その石自体にそういった潜在能力(…というか、潜在因子?)がなければ、美しくすることができません。だから、加熱してきれいになる宝石もあれば、きれいにならない宝石もでてきます。

日本では、エンハンスメントされている宝石は「天然」を冠し、エンハンスメントされた宝石自体は、その後改良された状態がずっと、ず〜っと続きます。

一方で、トリートメントは、自然な状態では起こることがありえず、宝石自体が持っている性質や潜在因子などに全く関係なく、化学的に処理し、変化させる「改変」という作業になります。

トリートメントされた宝石は長くその色を保つことが出来ない場合があります。そして、トリートメントされた宝石は、日本では「処理石」となります。

エンハンスメントとトリートメントについては、国によって扱いが違うようで、処理してあればすべてがトリートメントであるという国もあると聞きます。国際的なきちんとした統一規格が定められていないからです。

エンハンスメントとトリートメントについてエメラルドで説明しましょう。

1.自然に掘り出された原石の状態(=天然)

2.カット・研磨された状態(=天然)(エメラルドは、液状のインクルージョン(内包物)を含んでおり、カットしたり、研磨すると、その内包物が零れ落ち、あるいは蒸発して、色が白っぽく濁ったような状態になります。)

3.液状内包物を補う為に、無色のオイルを注入(含浸処理)(=エンハンスメント=天然)(ただし、含浸処理でも、オイルに緑などの色がついていた場合(=トリートメント≠天然)

とても、判りにくい説明だったかもしれませんね。それは、私自身それらの処理の全てを理解しているわけではなく、さらにはエンハンスメント・トリートメント問題で悩み、考えるところが多いからといえます。

この文章を最後まで読んで頂けたみなさま。

「天然」の宝石とはどこに境目をおくことが、最良なのか…。今一度考えてみませんか?私自身は、統一された国際規格ができて、それが、地球上のどこの国へいっても浸透していることを心から願わざるを得ません。(結局、他人頼りなんですが)

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