「宝石」とは?(定義)


「宝石」の定義をご存知ですか?宝石とは、どんなものを指すのだろうと思ったことはありませんか?

宝石の条件は、大きく3つに分類されます。

ひとつめは、「美しさ」。当たり前のことではありますが、宝石は美しくなければなりません。色や、輝きが美しいこと。

ふたつめは、「希少性」。産出量が少なく、希少価値のあるもの。

そして、みっつめは、「耐久性」。硬度がある程度以上あって、長い年月を経ても変わることがないこと。

これらのものを併せ持って始めて「宝石」と呼ばれるものになります。

一般に、いわゆる宝石店と呼ばれるところで販売されている「宝石」は、上記の条件を(ほぼ)満たしています。(例外は、オパール、真珠等)

しかし、ルースを集めるようになってからこの宝石の定義に少し疑問を抱く事もあります。

一般に「宝石」としてジュエリーにセッティングしてあるものは、硬度7より硬いのものが殆どです。なぜなら、地球上に最も多く存在している鉱物は石英。その石英の硬度は7です。そして、石英の小さな小さな粒が、風にのって細かな「埃」として存在しています。

例えば、硬度が7以下の宝石をそのまま柔らかい布かなにかで拭いた時。その宝石に埃が付着していたとしたら…。埃に石英が混ざっている事は充分に考えられます。ですから、硬度7以下の宝石に傷がつく可能性を否定できません。きれいにするつもりで、傷をつけているなんて、悲しい事です。

しかし、硬度が7より低いものを「宝石」として販売しているのも事実です。最近では、スフェーン(チタナイト)やアウィン(アウイナイト)をセッティングしてあるジュエリーを販売しているのを見かけることがあります。スフェーンは硬度5、アウィンは硬度6。どちらも石英よりも低い硬度です。

ジュエリーにセッティングするときも、割れないようにかなり気を配っているに違いありません。珍しく、美しいから…という理由だけでそれらのジュエリーを購入してしまったら…。もしくは、硬度が低いことは知っていても、石英が混ざっているかもしれない埃のことを知らなければ…。大変なことになりそうです。

ジュエリーにセッティングされていない(あるいは、されることのない)、「宝石」にも硬度が低いものがあります。私がいつか欲しいと思っているフォスフォフィライトというかなりの希少石です。

とても淡い青緑(無色のものもありますが)をしたこの石は、大変に欠けやすい石です。硬度は3.5とかなり低いものです。(珊瑚や、真珠は硬度が3ですから、それよりは硬いのですが)

このフォスフォフィライトは、かなり希少性が高い石です。いくつかの国から産出はされていますが、カットできるような石は、ボリビアからしか産出されていないということ。もちろん美しさは言わずもがな、です。

つまり、フォスフォフィライトは、ひとつめの「美しさ」とふたつめの「希少性」は兼ね備えています。ただし、みっつめの「耐久性」に疑問が残るわけです。しかし、硬度に問題はありますが、長い年月を経ても変わることがないということは備えている石なのです。(ただし、通常の宝石店で、「宝石」として販売はされていません。ルースコレクター向きの「宝石」です。)

また、皆さんご存知のアメシスト。「美しさ」と「希少性」は兼ね備えています。当然アメシストは水晶なのですから、硬度は7と問題はありません。ただしこのアメシスト、太陽光にずっとあてているときれいな紫色が退色していくという危険性を孕んでいます。(もちろん、そんな短期間で退色はしませんが…)つまり、色の面で長い年月を経ても変わることのない「耐久性」に疑問があるのです。(ただし、透明な水晶も宝石なのですから、紫水晶が長い年月を経て水晶になったところで、宝石には変わりはありません)

「宝石」の定義…。深く知ろうとすれば、それだけ疑問が湧いてくることも事実です。


追記

「宝石」は、一般的に、上記3条件「美しさ」「希少性」「耐久性」のあるものを指しますが、極めて「美しく」、極めて「希少性」の高いものについても「宝石」と呼ばれる場合があります。

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