その宝石は本当に天然ですか?


宝石の処理」で、「エンハンスメント」と「トリートメント」のお話をしました。ここでは、それを踏まえたうえで、進めていきたいと思います。

まず、宝石(ルース状態)の鑑別書をお持ちの皆さん。鑑別書の下の方に「一般にエンハンスメントが行われております」という記述がないでしょうか?

高い確率でエンハンスメントされている宝石には必ずこの一文が書かれています。ルビーしかり、サファイアしかり…です。他にも、様々な宝石たちが様々な方法でエンハンスメントされている可能性が高いものがあります。そういった可能性のある宝石には、殆どすべてにおいてこの一言が記載されているはずです。

ちなみに、トリートメントされてる処理石には「改変を目的とした○○○を認む」という記述が鑑別書になされています。

さて、ルビーやサファイアの場合は、日本に輸入されるうちの殆どが、エンハンスメントされた宝石(ルース)です。エンハンスメントされていないものは、「ナチュラル・ナチュラル(天然の色を持った天然石)」と呼ばれ、市場には殆ど出ず、稀に市場に出た場合には、かなりの高額で取引されます。(万が一こういった宝石を手に入れようとする場合には、お金と時間がかかりますが、信頼できる鑑別機関の鑑別書のほかに、非加熱証明書を取得されることをお勧めします。)

しかし、だからといって、出回っている殆どの宝石になんらかの処理及び加工が施してあるという訳ではありません。自然のままの状態で、カット及び研磨のみを行い市場に出ている宝石もあります。

有名どころでは、アレキサンドライト、クリソベリル・キャッツアイ、ガーネット族全般、スピネル、ペリドット、アメシスト。

それ以外でもアイオライト、ムーンストーン、アンダリューサイト、アパタイト、アンデシン、スフェーン(チタナイト)、ヒデナイトなどが、カットや研磨以外のいわゆる「処理(エンハンスメント及びトリートメント)」が全く行われていません。

これらの宝石以外にも、全くの自然のまま手を加えていないものがいくつもあります。

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