象牙

ワシントン条約による規制

Ivory

化学組成…Ca(PO(OH)および有機物
硬度…2.5

結晶系…非晶質
比重…1.90
屈折率…1.53−1.54
複屈折量…適用できない
光沢…無光沢〜脂肪状

象牙(アイボリー)は、アフリカ象やインド象の門歯です。一見すると牙に見えることから、象牙と呼ばれています。

かつて、日本は、象牙の最大の輸入国でした。1970年、アジア象とアフリカ象は、ワシントン条約によって保護される事が決定しました。1989年に、ワシントン条約によって象牙貿易が禁止となりました。1999年には、ナンバリングを行うなどして、一度だけ限定的に日本に象牙が輸入されました。また、本年(2007年)また、南アフリカ、ボツワナ、ナミビアが保有する象牙を、限定的に日本に輸入することを認める決定が行われました。日本では、2004年10月より、象牙製品全ての製造・卸・小売業者に登録の届出が義務付けられています。

さて、象牙の大きな特徴は、「ロゼット模様」と呼ばれる縞目模様と、その素晴らしい光沢です。そして、薄く細工されているところは、光の加減によって透き通ったようにも見える事があります。そして、使い込まれるほどに見事な飴色に変化(パティーナ)します。

象牙は、アフリカ象のものが最高級とされ、「グリーンアイボリー」と呼ばれています。また、牙の先へいくほど、牙の中心部へいくほど高価なものとなります。

象牙を使用したものは、アクセサリーだけではなく、印鑑、彫刻、ピアノの鍵盤、三味線の撥、耳掻き、箸、茶杓など様々です。事に、根付は、工芸品として、広く海外でもコレクターがいるほどです。(というよりは、日本人よりも、海外にコレクターが多いということ。)

象牙は、古来より珊瑚・鼈甲と共に珍重されてきました。象牙ではありませんが、マンモスの牙に彫刻を施したものが旧石器時代の地層から発見されています。古代エジプトでも装飾品として使用されたり、古代ギリシアでも象牙の像が作られていました。

日本では、奈良時代ごろ、中国を通して象牙が入ってきました。正倉院には、象牙のサイコロや象牙のものさしなどが保管されています。

象牙には、様々なフェイクがあります。象牙の屑を集めてつくった練り象牙。セルロイド(プラスチック)は、元々は象牙の代用品として発明されたものです。また、象牙風なものは、牛乳からごく簡単に(材料さえそろえば、私たちでさえ)つくる事ができるそうです。

象牙自体も、綺麗に見せるために漂白されたり、また、アンティークなものに見せるために染色されたりして使用される場合もあります。

他にも、象牙の代用品として、鯨の歯、セイウチの牙、イッカクの角、マンモスの牙などが利用されています。また、椰子の実の一種で代用品が作られることも有り、ベジタルアイボリーと呼ばれています。

ところで、象牙の貿易が盛んだった頃は、日本でアイボリーと言えば、象牙を指していました。しかし、輸入が禁止された今、動物の牙や歯などで出来たものをアイボリーと呼ぶことも増えてきているようです。ところが、海外では、アイボリーと言えば、象牙というよりは、「象牙質」を指している言葉だそうです。ですから、象以外の動物の牙・歯・角を「象牙」と言って販売するのは正しくないのでしょうが、「アイボリー」と言って販売するのは間違いではないんですね。「このアイボリーは、何ですか?」と聞いてから購入するのが賢い選択になってくる日が近いのかもしれません。

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