ムーンストーンをぶったたけ!


以前から、宝石知識に書こうとして書けなかった石があります。このサイトを立ち上げた当初から何度も練り直し、書き直し、寝かせて、発酵させ、そして再度練り直しから始め…。それでもダメでした。

お判りかとは思いますが、それがムーンストーンです。

長石とか、固有体とか、レイリー散乱とか、ラメラ構造とか。正直私の中で消化不良を起こしているものもありますが、その消化不良が私に掲載することに対してのストップをかけているのではありません。

一番大きな理由は、「ムーンストーン」の認識の差なのです。

私の認識は、次のようなものでした。(個人的見解や、思いが混ざっているので、注意です。)

●ムーンストーンは、宝石名であり鉱物名ではない。

●ムーンストーンは、アルカリ長石(サニディン(玻璃長石)や、アデュラリア(氷長石)など)で、シラーが現れるもの。

●ブルームーンストーンは、スリランカで産した青いシラーが現れるムーンストーン。後に、スリランカ産のブルームーンストーンが殆ど市場に出回らなくなったため、スリランカ産以外で、ブルームーンストーンに似た石(青いシラー、ラブラドレッセンス、及びペリステリズムが現れる長石)を、ブルームーンストーンと称し、販売するようになった。近年は、ラブラドライトやペリステライトが主流となっており、ムーンストーン(アルカリ長石)はとても、少なく、レア。

●ロイヤルブルームーンストーンは、インドで産した、元々の意味でのブルームーンストーンによく似たラブラドライトで、プロモートネーム(販売名)。後に、インド産に限らず、長石の中でもきわめて美しい青色の効果があるものをロイヤルブルームーンストーンと称して販売されることが多くなってきた。つまり、ラブラドライト以外の長石でもロイヤルブルームーンストーンとして販売されている。

●レインボームーンストーンとは、虹色のラブラドレッセンスを持つ、ラブラドライト。販売名。当初、レインボームーンストーンもロイヤルブルームーンストーン同様に、インド産が主流であった(気がする)。私の中では、レインボームーンストーン=インド産というイメージがあったが、それは、私のイメージだけなのかもしれない。少なくとも近年は、私が知る限り、産地に拘っているような状況は一切(…と言い切れるほど)みられない。

●ペリステライトは、当初(1990年ごろ)ブルームーンストーンとして販売されていた新産地(タンザニア)の石。詳しく調べたところ、長石の変種であり、アルバイトの一種(変種)であると確認された。

実は、この文章を書く前に、何度も読み返した文章があります。ムーンストーンとラブラドーライト(外部サイト)です。

アルカリ長石に属していなければ、ムーンストーンではないということ。つまるところ、ロイヤルブルームーンストーンと、レインボームーンストーンは、ムーンストーンではないということ。(ラブラドライトは、アルカリ長石ではなく、斜長石であるため)これはムーンストーンについての再認識を促された文章でした。

ただ、レインボームーンストーンとか、ロイヤルブルームーンストーンとかは、ある程度知られてきているのが厄介で、ラブラドライトを知らなくても、レインボームーンストーンなら聞いたことがある…という人がいる事実。(私の周りにいましたけど、皆さんの周りにはいませんか?)

そして、「タンザナイト」の例もあるように、世間的に認知されれば、宝石名になる…。(宝石名:タンザナイト、鉱物名:ブルーゾイサイト。鑑別書には、ブルーゾイサイトと記され、但し書きにタンザナイトという名称が記される。)というイメージが私の中にあり、良くも悪くも増大する頭の中の?。

販売店や業者の戦略もあるだろうけれど、似ていれば、ナンデモアリ?っていうのはどうなのかなぁ?という思いが膨らみます。でも、確かにすごく似てる…っていうか、素人目には判らないくらいのソックリさんだから、紛らわしいのは確かなんだよなぁ。とも思います。

ただ、販売店や業者の戦略であるだけならば、これらの方々に知識はあり、意図的に行われているということで、その石が「何」なのか確認しようと思えば確認できなくもない…ような気もします。しかし、一部の販売店等では、知識不足を露呈している可能性も否定できないという悲しい現実もあります。(まぁ、どちらも問題ですけれどね。キツイ言い方をすれば、前者は、ある意味詐欺的で、後者は、プロとして失格。)

先述しましたが、『ロイヤルブルームーンストーンは、ブルームーンストーンの中でも極めて美しい青い光が現れるもの』と記述されていて、ロイヤルブルームーンストーン=ラブラドライトではない状況になってきています。レインボームーンストーンについても、『ムーンストーンの中で虹(或いは、オーロラ)のような色を持つもの』という記述が目立ちます。どちらも、現状では強ち間違いというには…という状況になって来ているのかもしれませんが、ラブラドライトについて、全く触れることなく…。また、『ロイヤルブルームーンストーンの鉱物名は、ラブラドライトです。』というようにごくカル〜ク(判りにくい処や、小さな文字で)触れているだけであったり。これだと、直接言ってはいないけど、ロイヤルブルームーンストーンは、宝石名であると受け取れるのではないでしょうか。

他にも『レインボーロイヤルブルームーンストーン』や、『レインボーブルームーンストーン』などと、理解に苦しむ名称があったりもします。ちなみに、レインボーロイヤルブルームーンストーンは、レインボームーンストーンとロイヤルブルームーンストーン両方の特徴が同時にある石…らしいです。また、レインボーブルームーンストーンは、ラブラドライトの中で、青色のラブラドレッセンスをそなえているもの…らしいです。(レインボームーンストーンは、ラブラドライトで、ブルームーンストーンは、ムーンストーンなので、ブルーの前にレインボーを記することで、ラブラドライトであるという意味にしたいのでしょうが、一段と紛らわしくなっていますし、すべての販売店・業者で統一されているわけではなく、違う意味に捉えている販売店・業者もあるかもしれませんので、ますますヤヤコシイ状況です。)

また、『レインボームーンストーンや、ロイヤルブルームーンストーンは、鉱物学的にムーンストーンでは無いと言われているが、見た目の印象がとても似ており、エネルギーの方向も似ていることから、ムーンストーンと呼ぶべき』という記述を見たときは、呆然とさせられました。エネルギーの方向については判りませんが、見た目の印象は判ります。確かにすっごく似てるけど…。?????です。(ただ、書き手のポリシーは感じられるので、ポリシー無いので、他に追随してます。とか、知識ありません。と感じられる所よりは…。)

レインボームーンストーン、ロイヤルブルームーンストーン、ペリステライトなどは、『見た目にムーンストーンらしい月の性質を備えているため、ムーンストーンと呼ぶことを許されている』というような記述。(『月の影響を受ける』という記述もありましたねぇ。そういえば。)月と石の関係については、全く判らないので(個人的には、無いと思っておりますが…)、この際横に置いておきますが、ムーンストーンと呼ぶことを許されている…って、誰に許されているのでしょうか?誰が許したのでしょうか?この記述については、呆然を通り越して、唖然でした。

『』内の文章は、すべてが、パワーストーン好きの個人ではなく、パワーストーンを販売しているお店(サイト)に記載されていたものです。(思い出しながら書いたので、文章は正確ではなく、こんな感じで書かれていた…ということですので、念のため。)

つまり近年は、青色の効果のみが見られる石で、美しいものをブルームーンストーン、より美しいものをロイヤルブルームーンストーン。数色の効果が見られるものをレインボームーンストーンとし、それ以外をムーンストーンとしている場合が殆どなのではないかと思われるのです。長石であれば、アルカリ長石だろうが、斜長石だろうが、お構いなしです。しかし、ペリステライトだけは、ペリステライトとして販売されることもあり(ブルームーンストーンとされている場合も多い)、不思議感が募るのです。この現象は、パワーストーンのみならず、宝石を販売しているお店にも大きな影響を与えているようで、追随しているところもあります。

勿論、『レインボームーンストーン(ラブラドライト)』のように記載して販売されていたり、きちんと、注意書きされているお店もあって、十把一絡げにどうのこうのということではありません。

個人的には、ムーンストーンと、ブルームーンストーンは、アルカリ長石に属する石たち。そして、ムーンストーンは、宝石名であり、鉱物名ではない。ロイヤルブルームーンストーンとレインボームーンストーンは、ラブラドライト。ロイヤルブルームーンストーンと、レインボームーンストーンは、コマーシャルネームで、宝石名でも鉱物名でもない。そして、ペリステライトは、ペリステライト。鉱物名は、アルバイトで、ペリステライトは、亜種名(変種名)としたいのですが、近年のような現状では、それも間々ならない状態。この石たちは、大好きな石のひとつなので、情報が錯綜していて、訳のわからない状況になっていることが、遣る瀬無く、思考停止したい思いに駆られてしまったりするのです。

私は、ムーンストーンが、(日本では)パワーストーン系から広く一般に知られるようになった石のひとつであると思っています。パワーストーンという市場には、それだけの影響力があると思います。だからこそ、パワーストーンも鉱物であることを忘れずにいて欲しい…。と強く願わずにはいられません。

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