ガイエルスタインのアン
ウォルター・スコット 著
Anne of Geierstein
このお話の主人公が持つオパールは、持ち主である彼女の感情にあわせて色を変えていきます。作者は、イギリスのウォルター・スコット。近代歴史小説の祖と言われ、「サー・トリスタン」や「ロブ・ロイ」、「アイヴァンホー」などで有名です。
さて、このお話は、ヘルミオールという女性が主人公です。
ヘルミオールは、彼女が身に着けていたオパールの髪飾りと共に、魔法にかけられています。その魔法によって、ヘルミオールが陽気であるときは、オパールも美しく輝き、怒った時は、赤く燃え上がったような色となりました。
そして、オパールの輝きが消えたとき、ヘルミオールは、死に臥しました。彼女の感情や人生とオパールの遊色効果は深く深く結びついているわけです。このお話の場合は、遊色効果と言えないのでしょうが。
さらに、このお話は、小説という世界を飛び越えて、実際に「不幸の石」であると言われるようになってしまいます。それまでは、「幸運の石」であると思われていたにもかかわらず、なのです。
もちろん、このお話だけで、このように「不幸の石」と呼ばれ始めたわけではないようですが、この「ガイエルスタインのアン」が、「不幸の石」というレッテルに拍車をかける結果となったことだけは事実のようです。
一編の小説が、それまで持ち合わせていた石の評価を変えてしまうこともあるのです。